トピック31 公正証書遺言の証人
遺言は一般的に、自筆証書遺言か公正証書遺言によって行われることが多いのですが、公正証書遺言においては証人2人以上の立会いが必要であることは、あまり知られていないかもしれません。
そして、この「証人」は誰でもいいわけではありません。例えば、子や子の配偶者は証人になれません。受遺者(遺言で何某に遺贈するとした場合のその何某)もなれません。
・・・となると、証人になってくれる人を自力で探すのは、実際には難しいと感じる方が多いのではないでしょうか。でも大丈夫です。遺言作成支援のご依頼をいただければ、当事務所において証人もご用意することができます。
民法969条(公正証書遺言)
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 ~省略~
民法974条(証人及び立会人の欠格事由)
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 ~省略~
[令和6年8月]
トピック30 墓地の相続登記
「墓地」と一口に言っても実態は複雑で、その指し示す範囲、その種類・形式、その権利関係などにおいて、多種多様な意味合いを持っています。
いわゆる墳墓の敷地である土地であって、登記された土地であり、地目が「墓地」とされ、登記名義人が個人であるような土地について今回考えますと(法人が土地を所有する管理墓地等では、相続登記の問題は発生しません)、その登記名義人が死亡したのであれば、登記的には、当該土地を承継した者に名義を移すべきことになります。
ここであえて「相続」ではなく「承継」としたのには理由があります。
民法897条で次のように規定されているからです。
民法897条(祭祀に関する権利の承継)
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条(※)の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
※相続の一般的効力を規定した第896条のこと
つまり「墳墓」の承継は一般的な「相続」とは違う、ということです。そして「墓地」は「墳墓」と一体の物であると考えることができ、墓地たる土地の所有権移転の登記においては、被相続人が遺言で指定したり、慣習に従う等の方法により、「相続」ではなく「祭祀物承継」という登記原因で登記することができます。
ただ、実務的には、墓地たる土地であっても「相続」を登記原因として所有権移転登記をすることができます。当事務所では、ご相談者らが遺産分割協議によって誰が墓地たる土地を取得するのか決められるのであれば、墓地たる土地も含めて遺産分割協議書を作成し、相続登記をする方法を行っています。この方法が最も現実的な方法と思われます。
[令和6年4月]