債務整理の相談を受けていると、自己破産を選択することが最も適切だと考えられる場合もあります。そんなとき、相談者の中には、親戚・友人・知人から借りた分だけは完済したい(破産手続から除外したい)と希望される方が時々いらっしゃいます。
これに対しては、「債権者平等の原則」に注意しなければなりません。これは、一人の債務者に複数の債権者があるときに、債権者は(債権発生の時期の先後、債権額の多寡などにかかわらず)債務者の総財産から平等に弁済を受ける、という原則です。
平時の場面で、各債権の弁済期を、様々な事情に応じて早めたり遅くしたりすることは特に問題になりませんが、いざ破産手続の直前まで至っていれば、話は別です。
もし破産手続の直前にあえて親戚に対してだけ完済したような場合、破産手続上、免責が不許可になりかねない、という重大な問題になってしまいます。破産法252条第1項には、免責不許可事由が列挙されており、裁判所は、原則として、この免責不許可事由に該当しない場合に免責を許可します。上記の行為は、債権者平等の原則に反するおそれがあり、免責不許可事由に該当する可能性があるのです。
そもそも個人が破産手続を執る主目的は、裁判所から免責許可の決定を受けて、法的に返済義務を免れることです。これが達成できなくなるようなことは、避けるべきでしょう。
[令和7年8月]