召田(めすだ)司法書士・行政書士事務所|長野県松本市の相続登記

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#37 特別受益の持戻しとは

最近は、遺言書の作成など、終活に関係するご相談を受けることが増えてきたと感じます。
ご相談の中には、すでに子どもに資産の一部を生前贈与している方や、遺言で推定相続人に対して遺贈することを検討している方もいらっしゃいます。

今回のトピックスは、こうした生前贈与・遺贈に関連して、「特別受益」とその「持戻し」について取り上げます。

具体例で見ていきましょう。
例えば、被相続人Aの相続人が子2人(B・C)であるケースで、AはBに不動産(価額1000万円)を生前贈与しており、A死亡時の遺産は2000万円の現金のみだとします。
B・Cの相続分は、上記条文に基づいて計算すると、次のとおりです。

① B・Cの法定相続分は、2分の1ずつです。
② 【特別受益の持戻し】を行い、みなし相続財産を計算します。
  2000万円(現金)+1000万円(不動産)【特別受益】=3000万円(みなし相続財産)
③ みなし相続財産を元にして、Bの具体的な相続分を計算します(特別受益が控除されます)。
  3000万円×2分の1=1500万円
  1500万円-1000万円【特別受益】=500万円
  Bが相続するのは、現金2000万円のうち500万円分となります。
④ 同じく、みなし相続財産を元にして、Cの具体的な相続分を計算します。
  3000万円×2分の1=1500万円
  Cが相続するのは、現金2000万円のうち1500万円分となります。

  ※実際には、BとCで協議して(具体的相続分を元に)遺産を分割することになります。

このように、民法第903条第1項に基づいて計算すると、生前贈与を受けているBと、そうでないCが、(全体的に見ると)公平になりますね。

一般的には、このような「持戻し」をするということがあまり知られていないと思いますので、ご注意ください。
なかには、生前贈与したことは、そこで完了したことであり、自分が死亡したときには、生前贈与とは関係なく、最後に残った財産を相続人で分ければいいんだ、と漠然と考えている方もいらっしゃいます。では、もしそのような結果を望んでいるときは、どうすればいいのでしょうか? それは次回のトピックスで取り上げたいと思います。
「令和7年10月」