相続登記をしなかったら
相続登記をせずに、登記名義を故人のままで放置しておくと、困った事態に陥ることがあります。そんな困難事例を特集してご紹介します。
下記のようなことになる前に、お早めに当事務所までご相談ください。
困難事例1(数次相続の発生)
【困難事例1】
父が死亡して(長男・二男が相続人)、長男が亡父名義の家に住んでいたが、相続登記をせずにいたところ、二男が死亡した。二男は長らく県外に出て暮らしており、妻と子2人がいた。長男は、二男の妻子とほとんど付き合いがなかったため、亡父の相続登記についてどのように話を進めて良いか分からない。
この事例は、のんびり構えていた長男が、2次相続の発生により、慌てる事態となったケースです。
長男はこう考えていました。「家は私が貰うことに弟は反対しない。そのうち弟に判子をついてもらえばいい。」
ところが、弟が死亡した今、弟の妻と子2人に遺産分割協議をもちかけなくてはならなくなりました。これまで疎遠だった彼らから、実印と印鑑証明書をもらわなければいけないのです。連絡がとれないかも知れません。日本国内に住んでいないかも知れません。連絡がとれても面倒くさがられるかも知れません。代償金やハンコ代を要求されるかも知れません。
当事者が増えると、相手が未成年であったり、認知症であったり等の法的な問題が生じる可能性も出てきます。
こうなる前に、早く相続登記をしておけばよかったと後悔しても遅いのです。
困難事例2(知らぬ間の差押)
【困難事例2】
父が死亡して(長男・長女が相続人)、亡父名義の実家は空き家となったが、相続登記をせずにいた。あるとき長女が、実家処分の準備のために登記を確認したところ、知らない間に亡父名義から長男長女(持分2分の1ずつ)名義に変えられ、長男持分には差押登記がなされていた。実は長男は借金返済に行き詰まっていたのでした。
この事例は、長男が借金返済に行き詰まっていた所、債権者が亡父名義のままの不動産に目を付けて差し押さえたというものです。こうなると実家を通常に売却することが難しくなってきます。債権者は、このように法定相続分の相続登記を債務者に代位して行って、競売へともっていくことができるのです。
兄弟姉妹の間柄で、自分の借金のことなど話しにくいものです。相続登記を放置していると、もしかしたらこんなケースに遭遇してしまうかも知れません。